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  • 金子みすゞ さんの詩に素敵なメロディと清らかな歌声、
  • フルートの奏でる優しい音色が織り成す、
  • 暖かい陽だまりのようなひと時が過ごせるコンサート。


金子みすゞの言葉が金子みすゞの言葉として響くように

宮崎 裕之

 千載一遇の機縁による賜物として手がけさせていただいた『みすゞさんの歌』が歌われるに際して、私は「金子みすゞの言葉が金子みすゞの言葉として響くように」歌ってもらえたら、という単純な一縷の望みを託しています。「みすゞさん」の言葉をただひたすら瞑想し、異空間にいるかのような状態を呼吸しているうちに私の中で現象していたものがこのようなカタチになっていったものだからです。作曲の過程で遭遇した「みすゞさん」の世界は、深くて暗くもあり、はちきれんばかりに明るく、透明でナイーブ、優しさと悲しみ、泪あり笑いありといろんな様相を呈しています。深さや暗さも凛と澄んだ感じがします。そこには透き徹った底深さも感じられます。「みすゞさん」の詩の世界から観えてくる「観えぬものの象り(かたどり)」・「いのちのたゆたい」・「かえりみられぬ小さないのち」・「内なる響き」というイメージの中に、不可視の・かすかな・意識されざるものを「確かな存在」として同胞のように受容し、感応している「みすゞさん」の「ありよう」が映じてきます。確かにその世界を生き、それが詩というカタチに結晶化していった「みすゞさん」の勤しみに思いを深めさせられます。

 あらためて自分自身の心の中を覗いてみると、このような世界とはおよそ無縁の、騒然とした焦燥と熾盛の我欲にまみれた己の実像が浮かび上がって来ます。ですから、「外物」に振り回され疲弊しきった私の心の奥底に「みすゞさん」の言葉が晴天霹靂の如く、且つ、しみじみと響いていたのです。金子みすゞの言葉が私たちの心の宇宙に凛と響き渡るその瞬間、それまで思いを致すことすらありえなかった自己本来の「あるべきよう」が私たちの眼前に立ち現れて来ます。

【演奏者】 歌/綾部 勤子  フルート/金 任淑  ナレーション/城井 朋子  ピアノ/宮崎 裕之